介護業界で働いていると必ず聞く「自立支援」という概念。
これはしっかりと理解しないと、ある意味で介護放棄につながる危険な概念だと思う。
よく課題のある介護職が、「その方の自立を促すために本人でやってもらいました」
という言い訳に使われる事も多々あるからだ。
この自立支援という概念は、例えば中国では存在しない。
中国では、お金を払って介護サービスを買っているのだから、
全てやってもらってあたり前というのが基本的な考え方である。
日本では、ケアマネの作るケアプランを元に、出来ない事を支援する事が
介護士の役割であり、決して介護士はお手伝いさんではない。
ただ、実際の現場はどうだろう?
特に必要な介護の少ない介護施設の現場では「自立」と介護職の間で呼ばれる方に
とっては介護職はお手伝いさんでなければ、なんのために高いお金を支払って入居して
いるのかわからないのだ。
※もちろんそういった方達も、ご夫婦入居のケース以外は、
介護認定は受けているケースがほとんどである。
私自身も施設長時代に、ご家族から「うちの父はほとんど何も介護サービスを
受けていないのに、周りの方と同じような介護保険料がかかるのは納得がいかない」と
言われた事は何度もある。
私はその時は、「アセスメントを元に、今のお父様にとって、介護サービスを提供
しないというサービス(自立支援)を提供しています。もちろん今は元気なお父様にも
今後介護サービスが必要な時がやってきます。その時は必要なお手伝いはしっかりさせて頂くので、
周りとは比較されず、お父様にその時々必要な事をお話ししましょう」とお伝えしていました。
ご家族様皆さん納得されていましたが、では現場でそれが徹底され、
考えられた介護がされていたかというと、自信を持てないのが当時の実感でした。
それくらい自立支援というのは、ルールではなく概念なので、
定義自体が難しいものです。
ただ一方で、現場ではたくさん安易にお手伝いする事で、
本当にできた事が出来なってしまう方を見てきました。
私は介護業界に携わる人は、自立支援の事を、
一回はしっかり自分なりに考える必要があると思っています。
今回の記事が、あなたにとってきっかけになればうれしく思います。
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